会話(婚約編) |
男三人の生徒会室。 書類に目を落としながら、美童が清四郎に訊ねる。 「ねぇ、清四郎。本当のところ、野梨子とは、どうなの?」 書類に向かっていた清四郎、ちらりと目を上げて答える。 「結婚の約束は、しましたよ」 魅録の書類を捲る手が止まる。 その様子を見た清四郎、しれっと続ける。 「一緒にお風呂に入った事もありますし、一緒に寝た事もあります」 魅録の息が止まる。 その様子を見た美童、助け舟を出す。 「…それって、いつの話さ?」 にっこり笑って、清四郎。 「十五年程前ですかね」 魅録、息を吹き返す。 その様子を見た美童、再び訊ねる。 「で、結婚の約束は、まだ有効な訳?」 にっこり笑って、清四郎。 「先日、円満に破棄しました」 魅録を横目で見ながら、美童。 「何でまた?」 清四郎、魅録に目をやる。 「お互いに不都合だと思いましてね」 魅録、やっと声を出す。 「何がどう不都合なんだよ?」 魅録ににっこり笑って、清四郎。 「お互い、その気はないって事ですよ」 魅録ににっこり笑って、美童。 「良かったね」 男二人に笑顔を向けられ、魅録。 「何がだよ?」 男二人、書類に目を戻し、声を揃えて。 「別に」 |
あとがき これは何時書いたんだろう? 「婚約」が頭にあったんだと思うんだけど。 男三人で、何か色々な話をしているといいなあと思います。女の子達には聞かせられない話とか。すっごく馬鹿馬鹿しい話とか。 今回は魅録が苛められてますが、この三人は、互いに尊敬する所有り、負けられないと思う所有り、牽制し合ったり、慰め合ったり、絶妙なバランスの、心地好い緊張感が有ると良いですね。 |
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